スバルライン5合目→水平道→吉田大沢→8合目(9:05)→頂上(11:35)→5合目(8時間50分)
トレーニングで知人2人と行った.トレーニングおよび高所順応が主な目的.
前日の朝出発するも,GWの混雑ぶりには参った.よく考えたら初めてGW中に車で出かけたことになる.
去年は何をしていたのか考えても記憶がなかったが,
帰って調べてみるとどうやら凡庸に日帰りの岩に行っていたようだ.
スバルラインの開通が6時かと思って寝ていたら,3時半頃から喧しくなってきたので驚いて撤収した.
どうやら5月は3時かららしい.来てもはっきり言ってたいした物も無いので退屈だろう.
水平道から抜け出て暫くしてアイゼンを履いた.積雪で夏道は完全に無視出来る.
ルート取りは,8合目までの最短ルートらしい.初心 者は結構落ちていくといわれた.
Matterhornを登る時と同じ装備を持ち,コンテで上がることになった.
サングラスを忘れたため,ゴーグルをつけて歩くが,視界が狭いのが鬱陶しかった.
8合目の小屋から少し行ったところでロープを仕舞った.
私は先に登り,1時間しても後続が頂上に来なければ下山するように言われ独り出発した.
頂上が見えるがちっとも近づかないしんどさを味わった.
上は適度に凍っていて前爪も利くので自分としては快適だった.風も自分の予想よりも格段に弱かった.
登り切って1時間ほどボーとしていたが,後続が1時間以上待っても来ないので下山し始めた.
結局8合目小屋で合流.Yさんの靴が合わずに踵を痛めていたことと,
風が強いうえに途中で急に雲が出てきたので8合目に引き返したとのこと.
雲が出て来たとき,ちょうど私は律儀にボーとしていた時だった.結局すぐに雲は無くなった.
この1時間待つ指示と独りで行かせたことをリーダーのY氏は後悔されていたようだ.
その背景には次のようなことがあるそうだ.
富士山の風は,突然吹くので,それで飛ばされる.今日はいつにもまして風が強いらしい.
飛ばされたら,凍っているからピッケルはまず刺さらない.
朝,夕には凍り付くので,時間が合わなければ登るべきではないし,下りられなくなる.
そして最大の理由は, 雲が出てホワイトアウトしたら特殊な山の形状が故に下山はほぼ不可能なこと.
今回の快適に思えたコンディションも一瞬で変動する可能性に気づけるか.
難しい山だと思った.
下山途中で,ある小屋を右から下ったが故に,下るべき尾根の2つ右を下ってしまった.
結局左へトラバースして登山道に合流した.本当は小屋を左から下るべきだった.
視界は良好であるにもかかわらずこんな一見たいしたこと無いようなことで大きく道を外れる恐ろしさ.
書いてみると余りにもあり得ないような話に思えるが,それを実際に体験したのだから,
これがホワイトアウトしてたら100%下山出来ないという話は納得できた.本当に難しい山だ.
Matterhornは体力的なこともあって3人はきついという結論になり,私はガイド登山の方向に変わった.
その費用の援助も幾ばくかしていただけるようであまりにも有難い話で感謝だ.
それが終わったらまた合流してフリーなりを一緒にやる.
試験は 100%受かるとお墨付きをいただいた.しかもガイド登山はほぼ空身なので,劇的に負担は軽くなる.
IV級の岩場を空身で登るんだから.結局のところ天候次第か.
2人が帰国した後は,私独りでChamonixなりのお薦め場所を見て回る予定.
一昨年,宝剣で軽い頭痛に見舞われたが今回は全く影響もなかった.しかもいいペースで登れた.
初めての富士山が, 夏のすし詰め富士ではなく,雪のある富士であったことが単純に嬉しい.
今回も非常にmeaningfulな山行だった.