山と温泉で遊んでいる人のブログ
大台ヶ原/奈良Multipitch

千石嵓/Summer Collection

今回のサマコレは,私にとって初めてのマルチであり,しかも大台という雄大な自然の中でクライミングを堪能できたことは感無量だ.

事の起こりは1ヶ月前である.細菌学の授業を受けていたときに,inspirationの ごとくサマコレのことが思い浮かび頭から離れなくなった.そしてその日のうちに師匠に打診して一緒に行こうということになった.

西大台は2007年9月か ら立ち入り規制が行われるようになったので,
その手続きは閑人(といっても(?)驚くべきことに出席率は90%以上を維持)の私がすべてやった.
何しろ数 週間先のことなので,前日まで天気のことで無駄に神経をすり減らしてしまった.

千石嵓全貌

ドライブウェイの傍らの施設でテント泊の予定が,何故かしら駐車場まで上り詰めてしまった.結局車中泊.思いっきりキャンプ禁止と書いてあるので,さすがにテント泊するほど馬鹿ではない.ガスと風が出ていて,半ズボンではかなり寒かったのでシュラフを出して寝た.不思議と熟睡できたので,車中泊も使えることを知った.

レクチャーを受ける必要があり,7時半ごろゆっくり起きて朝食をとった。緊張感のない朝だった. かなり曇っているので大丈夫か??と少し不安になった.8時半からレクチャー(オオダイガハラサンショウウオのゆるキャラプレゼン!)を受けたところ,我々を含めて5人しか西へ行かないことが判明した.しかもクライミングをするパーティは久しぶりと言われた.それからせっせとギアを装着して出発した.

アプローチに関してHPではあまり記述が無く,いかにもサクッと抜けられるかのように書かれているが,正直ルンゼの下りが辛い.イバラと虫に脅かされた ((((;゚Д゚)))) 夏なので鬱蒼とと茂る木イチゴの棘が腕や脛をプスプス刺してくる.半袖の私は何かの熱病に罹ったように,怪しい小ミミズ脹れを大量に腕に作ってしまった.自分で見てもキモイ.勘弁してくれよ~.師匠は長袖で棘の被害は少なそうだが,虫に襲われているようだった.しかもだんだんと日が照ってきたので暑そう.長袖&虫除けは必須アイテムに思えた.赤テープに導かれてやっと千石嵓基部に 到着した.シオカラ谷がよく見えた.

Route
285m, 9P (5.10c)
9:10ビジターセンター→10:00サマコレ基部→6P目13:30→9P終了点15:30 

1P 5.5(40m) リード
私がリード,といってもピンは無いのでフリーソロ.簡単だが,ザックがあるとちょい狭い感じ.千石嵓初登ルートの左ルンゼルート(1963)の出だしと同じらしい.例のプレートのある終了点でビレイする.以後つるべ式で登った.

お決まりの写真

2P 5.10a(30m) フォロー
バランスが悪かった.ここの岩は結構磨かれてホールドの多くがスローパーみたいになっている.左から右への乗り移りがキモか.雲一つ無い快晴の青空に変わった.ヤバイ,暑すぎる!!

3P 5.10a(50m) リード
快適クライミング.1ピン知らぬうちに抜かしてしまった.ついブッシュのある左左へと行ってしまったが,行き詰まるし鬱陶しい.右の方が意外とガバガバ.ピンに忠実に行く方がよかった.

4P 5.10c(15m) フォロー
サマコレのcrux.師匠リード.しぶとい粘り勝ちで無事OS.私は敗退用の9mmロープを腰に付けてセカンドで登る.結構重いなぁ.以後セカンドがバックロープを付けることになる.薄かぶりのハング下でちょっと探るが,グダグダやって時間をロスしすぎては碌な目に遭わないと思い,諦めてさっさとA0で抜けた.

4P核心に入る

核心のピンにスリングがかかけてある.
「これ持って登ってくださいよ~(/^-^)/」って感じの魅惑のスリング.
誘惑必至.次回は身軽でトライしてRPしたい.

5P 5.8(30m) リード
核心は終わったという安心感で気楽に登れた.最後は,このルートで本当にいいのか,って感じだった. 中央バンドに出て,さっさと立ち木で支点工作.更に上には古いリングボルトが見える.圧倒的な岩壁が上部に展開される.20分ほど休憩した.

師匠のhydration systemを羨ましそうに横目で見ている私だった.次は持参しようと決意する.

6P 5.6(35m) フォロー
ブッシュの中のトラバース.5P終了点から1m降りたとこからスタート.支点は木で数カ所&ペツルハンガーでとった.これも大台の魅力.途中古びたハーケンもあった.終了点はいままでと同じ.スリングを巻いた木が目印?!

6P,ブッシュtraverse

7P 5.9(30m) リード
しびれるクライミングを堪能できた(*^0゚)v

トラバースにさしかかった

ごっつい水平クラックをマッチしながら快適に抜ける.高度感がありすぎて心底痺れた.リードできてよかったと心から思う.3人いたら素晴らしい写真が撮れること間違いない.

素晴らしいトラバースを振り返る

8P 5.9(25m) フォロー
快適カンテクライミング.ここから岩のフリクションがよくなったように感じた.日が当たるようになり,かなり暑い思いをしたが,風がそれを癒してくれた.

シオカラ谷が下の方に見える

9P 5.9(30m) リード
出だしの短いトラバースはちょっと躊躇した.すぐカンテに抜けるのだが,ロープの流れにもっと注意すべきだった.終了点近くではかなり流れが悪くなって,引き上げるのにすごく力が要った.どこが5.9だというくらい楽に登っていくと,終了点直下にハングで納得した.ロープの流れも悪いし,若干逡巡.顕著なガバはないように思えた.縦ホールドなら幾つかあったが.これを抜ければ終了.太い立ち木でビレイした.

9P,カンテに出たあたり

レクチャーを受けることで出発時間が大幅に遅れることを最も憂慮していたが,日頃のトレーニングと晴天,そしてパーティが我々だけだったこともあって,無事に登り切ることができた.

まさか自分が大台の峭壁を登る機会が来るとは.付き合ってもらった師匠には感謝感謝だ.細かいとこの抜けていた私を存分にサポートしてもらった.素晴らしいパートナーを持つことができたことを嬉しく思う.そして大台という雄大で美しい自然はいつまでも残したいと感じた1日であった.

登り切って二人で

Discussion
1° 夏場はアプローチに長袖必携.木イチゴにやられる.でも暑くなると邪魔になるし重い.
2° Hydration Systemはクライミングでかなり役立ちそうだ.ザックを下ろさなくていいし,小まめに飲めるだろう.

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