7/29: day 2
大 天井ヒュッテ2650m(4:30)→貧乏沢への分岐4:45→天井沢出合1790m(6:25)→北鎌沢出合→北鎌colの近く 2485m(9:30)→天狗の腰掛2750m(11:20)→独標基部12:20→独標2899m(13:05)→槍ヶ岳山頂 3180m(17:10)→槍ヶ岳山荘3080m(18:00) (13時間30分)
本日が核心の北鎌尾根!
沢までひたすら下った後に,急峻な北鎌沢右俣を詰めていく.その高低差が尋常でない.
尾根に入ると台高山脈のように細く,緑の綺麗な高度感あふれる尾根が続く.
次第に尾根は岩稜へと移行し,中途半端な巻き道はかえって復帰がややこしくなった.
岩場は3級程度だが,ルートファインディングを間違うとJapanese mountains特有の脆弱な岩がお出迎え.
次々とホールドやスタンスが崩落していく姿は恐ろしい!
最大の敵は水分の枯渇.
沢歩きで水の豊富さに錯覚を起こし浪費すると,稜線で一気に尽き果て後悔の念にかられる.
炎天下の歩行は,水3Lを余裕で消費させる威力があった.
途中の雪渓がなければやばかった.
この険しくも素晴らしいルート,山歩きの醍醐味を心行くまで堪能させてくれた.
独標から続く北鎌尾根,遠くに槍ヶ岳が聳える
朝の4時に起床し,小屋で長足代わりにもらった弁当を詰め込んで出発した.
10分程度歩いて,右手に急に貧乏沢への分岐が出てきたので,道に沿って下っていった.
標識の色がはげて,木の板に見えた・・・すぐに尾根をのっこした.
貧乏沢への分岐
ガレガレで岩がどんどん転がるよ
踏み跡は比較的明瞭で少しはずれてもすぐに軌道修正が出来るレベルだった.
奈良県・大台ヶ原のサマーコレクションのアプローチの方が,茨がブラスされて不快さは凌駕している.
適当に下って行けば問題なかろう.
落石注意,それだけの沢
雪渓が出てきた.脇には巻き道らしき踏み跡もあるが,それも途中でブッシュで遮られた.
面倒なのでピッケルを出して,キックステップで下ることにした.楽ちん楽ちん.
当分の間は溶けなさそう.アイゼンの必要性は感じなかった.
2カ所ほど下りで雪渓が出てきた
適宜休みながら始終明瞭な踏み跡と辿っていくと天上沢との出合に到着した.
ここで弁当を平らげ,エネルギーを補給して,沢登りを開始.
北海道の沢が思い出された.河原歩き.
天上沢との出合が見えてきた!
炭水化物と塩分多めなのが嬉しいね(・∀・)
沢は左岸(上流へ向かって右)に渡渉が必要なのだが,やや水量が多く見送りさかのぼることにした.
100m位歩き,しびれを切らしたかのように少し気合いを入れて渡った.
はっきり言って,ずっと上流に行けば水量は落ちていくらでも渡れるので,そう躍起になる必要性は全くなかった.
実に馬鹿馬鹿しい!
快適な河原歩き
単調な歩きを15分くらいしていると,明らかな二俣に到着.ここが北鎌沢の出合.
間違いようがない.早速そちらへ入った.目標は右俣だが,隠れていて見えない.
目の前に見えるのは左俣で登れば・・・相当難渋しそう(帰りに尾根から沢を俯瞰すると明らか).
見えるのは北鎌沢の左俣・・・詰めが行き止まりっぽい
標高1900mふきんで左右に分岐する.
右は水量が少なく,ほぼ伏流水となっていた.こちらに進路をとり,岩場を超えて登る.
背中から直射日光が降り注ぎ,尋常でない暑さ.発汗量がどんどん増えている.
北鎌沢の出合にて
上部の沢の詰め
さらに上部で左右に鋭角に分岐した.
右の方はガレていそうだし,左の方が開けていたので左をチョイス・・・これが失敗!
尾根直下の登りが急な上,ザレザレで滑る滑る!!ピックを突き刺しながらもがきつつ這い上がる.
久しぶりに泥臭い登りをしてしまった.どうやら右が正解で,快適な岩登りだったらしい.
そういえばそんなことが書いてあったなあ.
さわやかな詰め・・・の予定がトチ狂った(#・∀・)
先行者を発見・・・でも俺は滑る・・・
出たのは北鎌のColから少し進んだ小さなColだった.
実に明瞭な踏み跡がついている!パートナーは北鎌のColに出たらしい.小さなテント場があるって.
直登はアカンわ.
直下のしょぼい雪渓.その横に明らかな踏み跡が・・・
colからはひたすら尾根歩きの始まり.
高度間あふれる美しい細い尾根を踏み跡に従って歩ける.迷いようがない.
それにしても緑と花が美しい.
遠くに見えるは独標(P10)かな
楽しい尾根歩き.こういう歩きがいいね.
途中,fixed ropeが張られた箇所もあったが,問題なく通過し天狗の腰掛と呼ばれるP9へ.
少しはしゃいでしまった.ここから千丈沢へ回り込むようにして下って尾根へ復帰.
有名な独標のトラバース開始地点まで快適に歩けた.
独標が近づいてきた
天狗の腰掛.少し張り出しているので眺めgood
それにしても暑い.水を飲んでも飲んでも喉が渇く.
これでは後半戦,no drinkで歩くことになりそうな勢いで焦った.
偶然にもcolの左側に雪渓が出現.ありがたい.雪を掘り掘りして,氷を頂戴して水筒にぶち込んだ.
体を休めてから独標に突入することができた.助かりましたよ.
こいつは僥倖ですねえヽ(゚∀゚)ノ
雷鳥が鳴いていた
まだ小さい雷鳥
独標のとりつきに到着,ロープが張ってある
トラバースがなにやらネットで妙に目立っていた気がするが,なんのなんの,
難しいムーブが必要なのではなくて,単にザレ場で崩壊しつつあるだけの残念な箇所ってのが正体だったorz
fixed ropeをバックアップで握ってさっと通過.少し歩いて小ハング下のアンダートラバースもさくっと終えた.
ハング下(?)のトラバースね
トラバースの踏み跡が途切れる場所から,上へのクライムが始まる.
ここは小チムニーを超えるのが合理的そうだった.汚いスリングとぐらつく錆びたハーケンは御免被る.
横の岩は逆層でトラバースは難しそう.素直にチムニーを登るのがbestかなあ.
3級程度の快適チムニー(空身のフリーならね)
そこからはslabのようなそうでないような登りが続き,尾根まで上がってしまう.
適当に登ればOKだが,所々砂利で滑るので勘弁して欲しい.
colへ読み通りどんぴしゃで出たので,少し戻って独標の頂上を踏んできた.いくつかあってどこがよくわからん.
快適な階段,easyね
独標の頂から.道はまだ長い
独標からいくつかのピークが技術的には最大の核心に思えた.
下手に尾根を嫌って巻くと,大回りになるし足場がザレザレで復帰の労力が半波ない.
岩稜歩きでもdownclimbingでひやっとする箇所があった.汚いfixed ropeも出てきたが,触りたくない.
道を間違えると,もろいホールドやスタンスがどんどん崩落していく.
一度巨大ガバが吹っ飛んだときは焦った(;´Д`) 体重をかけていたら,悲報が流れてしまう.
変な赤テープ貼っておくなよっ!
P14から槍の肩まではひたすら千丈沢の側をトラバースすることにした.
直答するとP15でプレートを拝むイベントが発生するらしいが,そのようなことは露知らず,
トラバースの道が目の前にあるので,拒否する理由もなくそちらを歩いた.
トラバースしてますよ~
全部トラバース・・・岩がザレザレでどんどん落ちるwww
でもまだまだ遠い・・・
引き続き明らかな道があるのでそちらを歩く
重い足を無心で運び,徐々に槍ヶ岳が近づいてきた.並々ならぬ威圧感が漂っている.
稜線に這い上がる必要が出てくるが,標高3000mを超えており,疲労の蓄積があるので,
ガレ場でなかなか足が上がらず疲れが顕著になってきた.
槍の肩で小休止して,プレートの右の方から穂先を登り切った.
チムニー界隈は無視した.狭苦しそうで,疲れそうだったので.
槍ヶ岳が近づいてきた
存在感がすごい,写真では表現できない.
パートナーは左の方から登ってきた.
適当にいくらでも登れるので,楽しく行きましょう!
槍ヶ岳山頂にて,これは疲れとるwww
北鎌尾根が鳥瞰できる
下がガスっていて見えない
山頂からの垂直梯子の連続が,疲れた足にはかなり応えた,びびりまくった.
こんなの山を始めた頃に上り下りしたのかい!!
山荘は槍の肩にあるため,その人気ぷりは推して知るべし.
相当な人数が泊まっていたが,それを抱擁するだけのcapacityには恐れ入った.
綺麗だし,拡張されて部屋やトイレは多いし,携帯電話が通じるし.
槍ヶ岳山荘が見える
夕食,やっぱ小屋止まりですねえ
つーことらしい(#・∀・)
夜は疲れすぎていたのか,一睡も出来なかった(睡眠薬は面倒で飲んでいない).
ベッドをゆったり使えて割と快適な居住空間だった.こちらも9500円なり.満足した.
よく歩いたわ・・・・・・